SHIBUYA CALENDAR / ART & CULTURE
PUBLISHED BY ART AND CAFE
AIとアートの未来【2026年版】
AIは芸術家になれるのか?
AIが数秒で美しい画像を生み出す時代。
人間が絵を描く意味は、なくなるのだろうか。
生成AIの進化によって、 アートの世界は大きな転換期を迎えています。
AIが制作に参加した作品が 国際的なオークションで取引され、 美術館ではAIを使った 没入型インスタレーションが紹介されています。
一方で、著作権や学習データの利用、 アーティストの仕事への影響など、 解決されていない問題も数多くあります。
AIは人間の創造性を置き換えるのか。 それとも、アートの可能性を広げる 新しい道具になるのか。
SHIBUYA CALENDARでは、 世界の事例と最新の議論を通じて、 AIとアートの未来を考えます。
01|AIアートとは何か?
AIアートとは、 人工知能を作品の制作過程に 取り入れたアートの総称です。
生成AIに文章を入力して画像を制作する方法だけでなく、 プログラムによる画像生成、 データを使った映像表現、 ロボットによる描画など、 幅広い表現が含まれます。
AIアートにはさまざまな種類がある
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 画像生成AI | 文章や画像をもとに新しい画像を生成する |
| ジェネラティブアート | ルールやアルゴリズムを用いて作品を生み出す |
| データアート | 自然・都市・社会などのデータを視覚表現へ変換する |
| AIインスタレーション | 映像・音・空間などを組み合わせた体験型作品 |
| ロボティックアート | ロボットや機械による描画・造形を活用する |
すべてのジェネラティブアートが AIを使用しているわけではありません。
重要なのは、作品の見た目だけではなく、 どの技術を使い、 人間がどのように制作へ関わったかです。
02|AIアートは突然生まれたものではない
AIとアートの関係は、 近年の画像生成AIよりも長い歴史を持っています。
1960年代以降:コンピューターによる芸術表現
コンピューターを使った アルゴリズムによる描画や造形が発展しました。
1970年代以降:Harold CohenとAARON
アーティストのHarold Cohenは、 自ら開発した描画プログラム 「AARON」を用いて、 コンピューターと芸術制作の関係を探究しました。
2010年代:機械学習と生成表現
ニューラルネットワークなどの技術によって、 画像を学習し、 新たな視覚表現を生成する試みが広がりました。
2020年代:生成AIの一般化
専門的なプログラミング知識がなくても、 文章による指示などから 画像や映像を生成できる環境が広がりました。
AIは一部の専門家だけが使う技術から、 多くの人が利用できる 創作ツールへと変化しています。
03|世界の注目AIアーティスト
AIアートの世界には、 単に画像を生成するだけでなく、 技術そのものを表現のテーマにしている アーティストが存在します。
REFIK ANADOL
Refik Anadol|レフィーク・アナドル
膨大なデータと機械学習を活用した、 没入型の映像作品で知られるアーティストです。
自然、都市、宇宙などのデータを、 流動的で壮大な視覚体験へ変換します。
2025年には作品 「Machine Hallucinations - ISS Dreams - A」が、 Christie'sのAIアート専門オークションで 277,200ドルで落札されました。
SOU GWEN CHUNG
Sougwen Chung|ソウウェン・チャン
人間とロボットが共同で描画する パフォーマンスや作品で知られています。
AIやロボットを単なる自動化の道具ではなく、 人間と一緒に制作する存在として扱い、 共創の可能性を探っています。
MARIO KLINGEMANN
Mario Klingemann|マリオ・クリンゲマン
機械学習やアルゴリズムを用いた 生成アートの先駆的な作家の一人です。
人間の知覚や、 機械が画像を生成する仕組みそのものを 芸術的なテーマとして扱っています。
HOLLY HERNDON & MAT DRYHURST
Holly Herndon & Mat Dryhurst
AI、音楽、デジタルアイデンティティ、 学習データと作者性などを探究する アーティストです。
2025年のChristie'sオークションでは、 作品「Embedding Study 1 & 2」が 94,500ドルで落札されました。
HAROLD COHEN
Harold Cohen|ハロルド・コーエン
AIアートの歴史を理解するうえで 欠かせない先駆者です。
独自の描画プログラム「AARON」を通じて、 コンピューターは創作に どこまで関わることができるのかを 長年探究しました。
04|AIアートはなぜ高額で売れるのか?
AIを使えば誰でも画像を生成できる時代に、 なぜ一部のAIアート作品は 高額で取引されるのでしょうか。
理由は、単にAIを使っているからではありません。
作家の活動歴、コンセプト、 独自の制作方法、 作品の希少性、 展示歴、コレクターからの評価など、 複数の要素が価格に影響します。
CHRISTIE'S / MARCH 2025
US$728,784AIアート専門オークション 「Augmented Intelligence」の総落札額
2025年2月20日から3月5日にかけて、 Christie'sは大手オークションハウスとして 初のAIアート専門セールを開催しました。
同セールでは、 Refik Anadolの作品が 277,200ドルで落札され、 Holly HerndonとMat Dryhurstの作品も 94,500ドルで取引されました。
この結果は、 AIを用いた作品が 美術市場の一部として 評価されていることを示しています。
ただし、すべてのAIアートが 高額で売れるわけではありません。
また、2025年の一つのオークション結果から、 AIアート市場全体が継続的に成長していると 断定することもできません。
出典:Christie's 「Augmented Intelligence」 2025年3月5日発表。
05|AIアートの著作権と倫理
AIアートの普及によって、 最も大きな議論の一つとなっているのが 著作権です。
AIが生成した画像に著作権はあるのか?
答えは、国の法律や 具体的な制作方法によって異なります。
米国著作権局は2025年の報告書で、 生成AIを使用した作品であっても、 人間が十分な表現上の創作的要素を 決定している場合には、 著作権保護の対象になり得ると整理しました。
一方、単にプロンプトを入力することだけでは、 必ずしも十分な人間の著作者性を 認められないとしています。
学習データの問題
生成AIの学習に、 既存のアーティストの作品を 許可なく利用してよいのか。
この問題には、 著作権、ライセンス、 クリエイターへの対価、 表現の自由、技術革新など、 複数の論点があります。
2025年のChristie'sによる AIアート専門オークションでも、 学習データの扱いを理由とする 反対の声が上がりました。
一方で、AIを使うアーティストの中には、 技術を創造性の代替ではなく、 表現を拡張する道具として 位置づける人々もいます。
AIアートを制作・公開する際の確認事項
- 使用するAIサービスの利用規約
- 学習素材や入力画像の利用許諾
- 他者の作品・商標・肖像との関係
- 商用利用と販売に関する条件
- AIを使用した制作過程の説明
本節は一般的な情報提供であり、 個別の法律判断ではありません。 日本国内での商用利用や権利処理は、 具体的な事情に応じて確認が必要です。
06|AI時代に、人間が描くアートの価値は高まるのか?
AIは画像を素早く生成できます。 しかし、人間がアートをつくる体験には、 完成画像だけでは測れない側面があります。
素材に触れること
絵の具の厚み、 キャンバスの質感、 筆や道具の動き。
実際の素材に触れる体験は、 画面上の画像生成とは異なる 身体的な感覚を伴います。
偶然を受け入れること
思い通りに色が混ざらない。 予想外の模様が生まれる。
そうした偶然を作品に取り入れることも、 アート制作の楽しさです。
制作の時間を共有すること
友人や家族、恋人と一緒に 作品をつくる時間そのものが、 思い出になります。
自分の選択を作品に残すこと
どの色を選び、 どこに絵の具を置き、 いつ完成とするのか。
作品には、制作した人の 判断や感覚が残ります。
AIは画像制作の選択肢を増やす。
人間のアート体験は、
制作する時間そのものに価値を見いだせる。
だからといって、 手描き作品の市場価格が 必ず上がるわけではありません。
ただ、AIが普及するほど、 素材や制作過程、 人間の関与を重視する 鑑賞者が増える可能性はあります。
07|AIとアートの未来はどうなる?
これからのアートには、 いくつかの方向性が考えられます。
1. AIと人間の共同制作
AIがアイデアや構図の候補を生み出し、 人間が選択、修正、制作を行う方法です。
2. 体験型アートの進化
鑑賞者の動きや声、 環境データなどに反応する インスタレーションが さらに発展する可能性があります。
3. 制作過程の透明性
どのデータやAIを使い、 人間がどのように関与したか。 作品の制作履歴を説明することが、 より重要になると考えられます。
4. アート教育の変化
AIを発想の補助に使いながら、 観察力、構成力、 素材を扱う力を育てる教育が 広がる可能性があります。
5. 人間ならではの体験の再評価
作品を買うことだけでなく、 自分でつくること、 他者と制作すること、 アーティストと直接交流することが、 重要な体験として選ばれるかもしれません。
08|東京・渋谷から考える、アートの未来
東京・渋谷は、 ファッション、音楽、デザイン、 テクノロジー、現代アートなど、 さまざまな文化が交わる街です。
AI時代のアートを考えるうえでも、 新しい技術と人間の創造性を どのようにつなぐかが重要になります。
ART AND CAFE|自分の手でつくるアート体験
ART AND CAFEでは、 初心者でも参加できる 約120分のアート体験を提供しています。
たらし込みアート、 テクスチャーアートなど、 素材や色彩を楽しみながら オリジナル作品を制作できます。
AIで色や構図のヒントを考えることと、 実際にキャンバスへ 絵の具を置くことは、 異なる創作体験です。
AI時代だからこそ、 自分の手で作品をつくる時間を 楽しんでみてはいかがでしょうか。
ART AND CAFE / SHIBUYA
AIの時代に、自分の手でアートをつくる。
初心者歓迎・英語対応・完全室内。
約120分のアート体験。
雨の日OK・当日予約OK。
空席・体験内容・料金は 予約ページでご確認ください。
100 GALLERIES|次世代の表現をつなぐ
ART AND CAFE GALLERYが展開する 「100 GALLERIES」は、 ギャラリー、アーティスト、 鑑賞者をつなぐアートプロジェクトです。
将来的には100のギャラリー、 1,000人のアーティストが つながるネットワークを目指しています。
第1回展覧会は 2026年11月6日に開幕予定です。
参加ギャラリーは、 ART AND CAFE GALLERY、 Gallery café bruna、 Gallery Soの3ギャラリーです。
AIを使う作品も、 絵画や立体などの伝統的な表現も、 重要なのは作家が 何を伝えようとしているかです。
100 GALLERIESは、 新しい才能や多様な表現と 出会うための場を目指しています。
※本記事はAIアートをテーマとした 編集記事です。 100 GALLERIES第1回展覧会で AI作品が出展されることを 意味するものではありません。
よくある質問|AIアートFAQ
Q. AIアートとは何ですか?
人工知能を制作過程に取り入れたアートです。 画像生成だけでなく、 映像、音楽、ロボット、 インスタレーションなども含まれます。
Q. AIは芸術家になれますか?
AIは作品の生成に関与できますが、 芸術家をどう定義するかは 哲学的・社会的な議論の対象です。 法的な著作者の扱いとも 区別して考える必要があります。
Q. AIアートは高額で売れますか?
高額で取引された例はあります。 ただし、すべてのAI作品に 高い市場価値がつくわけではありません。
Q. AI生成画像に著作権はありますか?
国や制作方法によって判断が異なります。 人間の創作的な関与の程度が 重要な論点となっています。
Q. AI時代に絵を描く意味はありますか?
あります。作品の完成だけでなく、 素材に触れること、 試行錯誤すること、 制作時間を楽しむことにも価値があります。
ENGLISH EDITION
AI and the Future of Art in 2026: Can Artificial Intelligence Be an Artist?
Artificial intelligence can now generate images in seconds. But does that mean human creativity is becoming less important?
The rise of generative AI is transforming the art world, from creative tools and immersive installations to auctions and copyright debates.
What Is AI Art?
AI art refers to artistic work created with the involvement of artificial intelligence. It can include generated images, data-driven installations, robotic painting and interactive experiences.
Not all generative art uses AI, and not every AI-assisted artwork is created in the same way. The role of the human artist remains an important part of understanding the work.
Artists Shaping the Field
Refik Anadol uses machine learning and large datasets to create immersive visual experiences.
Sougwen Chung explores collaboration between humans and drawing robots.
Mario Klingemann investigates machine learning and algorithmic creativity.
Holly Herndon and Mat Dryhurst explore AI, identity, authorship and digital culture.
Harold Cohen was a pioneering figure whose AARON program helped establish a long history of computer-assisted art.
Can AI Art Have Market Value?
Yes. In March 2025, Christie's AI-focused auction "Augmented Intelligence" achieved a total of US$728,784.
Refik Anadol's "Machine Hallucinations - ISS Dreams - A" sold for US$277,200.
These results demonstrate collector interest, but they do not guarantee that AI-generated artworks will increase in value.
What About Copyright?
Copyright rules vary by jurisdiction. In its 2025 report, the U.S. Copyright Office explained that sufficient human creative contribution can support copyright protection for AI-assisted outputs.
Questions about training data, licensing, consent and fair compensation remain central to the debate.
Why Human Art Still Matters
AI can generate images, but making art by hand offers a different kind of experience.
Choosing colors, touching materials, responding to unexpected results and sharing the creative process can be meaningful in their own right.
Rather than asking whether AI will replace artists, we can also ask how technology might expand human creativity.
Experience Art in Shibuya, Tokyo
ART AND CAFE offers beginner-friendly art experiences in Shibuya.
Spend approximately 120 minutes creating your own artwork in an indoor studio. English support is available.
Create Something of Your Own.
Art experiences in Shibuya, Tokyo.
Beginner-friendly. Indoors.
Same-day booking subject to availability.
Discover 100 GALLERIES
ART AND CAFE GALLERY is developing 100 GALLERIES, a creative initiative connecting artists, galleries and audiences.
The inaugural exhibition is scheduled to open on November 6, 2026. The project aims to support new artistic connections and diverse forms of expression.